BLOG
2026年10月12日 [町田市の土地家屋調査士・行政書士]
【山留め工事による境界杭の移動と防衛策】
「自分の土地の境目にある境界標は、一度設置したら永久に動かないもの」と思っていませんか?実は、隣地でマイホームの建築工事やビルの建設が始まり、敷地境界線のすぐそばを深く掘削した際に、地盤ごと境界杭が工事側に引っ張られて移動してしまうというトラブルが、知らぬ間に発生しているケースがあります。
境界標がずれてしまうと、将来土地を売却する際や建替えの際に、深刻なトラブルへ発展しかねません。
今回は、建築工事における「山留め工事」によってなぜ境界標が移動してしまうのか、その仕組みと大切な土地を守るための対策をご紹介します。
【山留め工事とは何か?】
建物の地下部分や基礎をつくる際、周囲の土が崩れてこないように壁を設けながら土を掘り進める工事を「山留め工事」と呼びます。
【なぜ工事で隣の境界標が動いてしまうのか?】
山留め工事の際、境界線ギリギリの位置を深く掘削すると、次のような現象が連鎖的に起こります。
1. 土圧・水圧のバランスの変化
土を掘り出すことで、それまで釣り合っていた土の圧力が変化します。
2. 山留め壁のたわみ(変位)
どれだけ頑丈に山留め壁を設けても、周囲の土の重みに押されて、数ミリ〜数センチ単位で掘削側にわずかに傾いたりたわんだりします。
3. 隣地側地盤の引き込み・沈下
山留め壁が工事側へ動くことで、その裏側にある隣地の土も一緒に引きずられて緩み、工事側へ移動したり沈下したりします。
つまり、「境界標が単独で動く」のではなく、「境界標が埋まっている地盤そのものが工事側に引っ張られて移動する」のです。
【境界標が動くとどんなトラブルになる?】
�@ 山留め工事の影響で動いた境界標をそのまま放置すると、将来の土地売却や建替えの際に隣人との争いの原因となります。特に、境界標を元の位置に戻す際に隣地の面積が減る方向への移動となる場合(あくまで見かけ上の変化ですが)、隣人の同意が得られず、土地の売却が進められないという事態に陥ることがあります。
�A境界杭とともにブロックごと掘削側に引きずられてしまうと、既存のブロックにひびが入ったり、ブロックが隣地側に傾いて越境状態が生じたりするケースもあります。
【防衛策は?】
境界標は決して不変なものではなく、周囲の地盤が動けば一緒に動いてしまうものです。
隣地で工事が始まる際は、「お互い様だから」と放置せず、施工業者に山留め計画や境界への配慮について事前に確認しましょう。万一、工事によって境界標が動いたり、ブロックが傾いて越境状態が生じた場合の対応については、あらかじめ施工業者と話し合い、書面として残しておくことが、大切な資産を守る最大の備えとなります。

